先日、子どもリハビリセンターIlluminationで人工呼吸器の勉強会を実施しました。
業務後に全スタッフが集まって、みっちり勉強。今回はその内容を通じて、医療的ケア児を受け入れる事業所に必要な専門性と、保護者の方に私たちからお伝えしたいことを書いてみます。
人工呼吸器は「怖い装置」ではない
医療的ケア児の中には、人工呼吸器(”NPPV:非侵襲的陽圧換気”や”IPPV:侵襲的陽圧換気”)を装着して生活しているお子さんがいます。
人工呼吸器と聞くと、怖いイメージを持たれる方もいるかもしれません。
でも、人工呼吸器は怖い装置ではありません。子ども達の呼吸を助けてくれる装置であり、何か問題があったときにはアラームで知らせてくれる装置です。正しく理解して、適切に運用すれば、子ども達の生活を支える頼もしい味方になります。
だからこそ、「なんとなく分かっている」ではなく、全スタッフがきちんと理解している状態をつくりたい。それが今回の勉強会の目的です。
私たちの事業所が持つ3つの専門的な強み
Illuminationには、人工呼吸器と呼吸ケアに関して3つの強みがあります。
1. 3学会合同呼吸療法認定士が在籍
日本呼吸器学会・日本麻酔科学会・日本胸部外科学会の3学会が合同で認定する専門資格です。呼吸療法における高度な知識と技術を持つスタッフが、スタッフの知識補完や技術指導を日常的に行っています。
熊本の児童発達支援・放課後等デイサービスの中で、この資格を持つスタッフが在籍しているのは当事業所のみです。
2. すべての看護師が人工呼吸器のケア経験者
Illuminationに所属する看護師は全員、小児科や急性期での人工呼吸器管理の経験があります。送迎時にも看護師が同行し、お預かり中は常にモニタリングを行います。
3. 呼吸・循環領域の講師経験をもつスタッフ在籍
当事業所には、認定理学療法士(日本理学療法学会の上位資格)や、小児の呼吸領域で学会の座長経験、熊本県理学療法士協会での呼吸・循環の講師経験、さらにリハビリ専門病院の回復期病棟で看護師向けに呼吸リハと体位ドレナージの指導を行ってきた実績があるスタッフが在籍しています。
この3つの専門性が揃っている児童発達支援・放課後等デイサービスは、多くありません。私たちは、子ども達の安全と保護者様の安心のために技術と経験を積んできました。

勉強会で何をしたのか
今回の勉強会の内容を少し紹介します。

基本の再確認
人工呼吸器の回路の仕組み、PSV(圧支持換気)やA/C(アシスト/コントロール)といった換気モードの違い、PEEP(呼気終末陽圧)の役割など。
「知っている」と「正確に説明できる」はまったくの別物です。全員で言語化しながらあらためて確認しました。
腹臥位(うつぶせ姿勢)の効果
仰向けの姿勢では、肺の背中側(背側)が体の重みで圧迫され、換気が不十分になりやすい構造になっています。腹臥位にすることで、この換気と血流のミスマッチ(V/Qミスマッチ)を改善し、酸素化の効率を高めることができます。
人工呼吸器を装着しているお子さんのリハビリにおいて、腹臥位は非常に重要なアプローチです。ただ姿勢を変えるだけではなく、呼吸生理学に基づいてなぜその姿勢が有効なのかを理解した上で実施することが大切です。
緊急時・災害時の対応
人工呼吸器のトラブル発生時にどう動くか。地震や停電が起きたときにどうするか。
熊本は2016年の震災を経験しています。電源を必要とする人工呼吸器を使うお子さんを預かる以上、災害対応は定期的に確認しておかなければいけません。
どれも「初めて学ぶ」内容ではなく、「再確認」です。でも、この再確認がとても大事なんです。命を預かる現場において、何度もかみ砕いて理解し、身に沁み込ませることの価値は計り知れません。
福祉の事業所だからこそ、専門性が必要
人工呼吸器の設定や子ども達の呼吸状態を正確に理解することは、医療と福祉の連携そのものです。
医療機関と同じ言葉で情報を共有し、同じ基準で理解すること。これが本当に重要です。
たとえば、利用中にSpO2が普段より低下した場合。「なんか数値が低いです」と報告するのと、「SpO2が普段の98%から94%に低下していて、PEEP設定は〇cmH2O、換気モードはA/Cで、吸引後に一時的に回復しましたが30分後に再度低下しました」と報告するのでは、医療機関側の判断スピードがまったく違います。
子ども達の変化を早期に発見し、適切な言葉で医療機関に伝えられること。それが、医療的ケア児を受け入れる事業所に求められる専門性だと考えています。
人工呼吸器を装着しているお子さんは、日常生活の中で常に装着していることがほとんどです。同じ時間を長く過ごす児童発達支援・放課後等デイサービスだからこそ、適切な理解と呼吸リハビリ、そしてエラーや緊急時の対応をしっかり行い、医療機関と密に連携できる体制を整えておく必要があります。
人工呼吸器をつけていても、リハビリも活動も全力で
Illuminationでは、人工呼吸器を装着しているお子さんにも、腹臥位での呼吸リハビリをはじめ、個別の小児リハビリテーションやゲーミフィケーション(ゲームを活用した発達支援)への参加など、一人ひとりの状態に合わせた発達支援を行っています。
私たちが大切にしているのは、脳神経科学や発達科学に基づくダイナミックシステムズ理論の考え方。大人が一方的に「やらせる」リハビリではなく、子ども自身の「やってみたい」「動いてみたい」という自発性を引き出すことで、脳の可塑性を最大限に活かした発達支援を実践しています。
人工呼吸器をつけているからといって、活動を制限するのではなく、安全を担保した上で最大限の経験を提供する。それが私たちの考え方です。
人工呼吸器を使っているお子さんの保護者のみなさんへ
お子さんが人工呼吸器を使っていると、事業所選びのときに「ここは本当に対応できるのか」と不安になりますよね。
Illuminationでは、以下の体制で対応しています。
- 3学会合同呼吸療法認定士の資格を持つスタッフが在籍
- 全看護師が人工呼吸器のケア経験者(小児科・急性期出身)
- 送迎時に看護師が同行
- 呼吸領域での学会座長・講師経験を持つスタッフ在籍
- 法定研修に加え、今回のような実践的な勉強会を定期的に実施
- 医療機関への独自の看護報告書・リハビリ報告書を作成し、情報共有を徹底
対応可能な医療的ケアは、人工呼吸器管理(NPPV・IPPV)、酸素療法、気管内・口腔内吸引、吸入(ネブライザー)、経管栄養(経鼻胃管・胃瘻)、ストーマ管理、血糖測定、てんかん発作時の緊急対応など多岐にわたります。
気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
学び続けることが、子ども達の安全をつくる
勉強会が終わったあと、スタッフ同士で「ここの理解が曖昧だった」「次はこのケースも想定しよう」という会話が自然に生まれていました。
僕たちは専門職です。でも、専門職だからこそ「分かっているつもり」が一番怖い。
定期的に立ち止まって、知識を棚卸しして、チーム全員で同じレベルに引き上げる。この地道な積み重ねが、子ども達の安全と保護者の安心をつくっていくと信じています。
これからも、学び続けます。すべては、子ども達の未来のために。
🔗 子どもリハビリセンターIllumination https://kodomo-illumination.com/
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