私たちが日々のリハビリで関わる中で、多くの保護者の方が気にされるのが「便秘」です。
実は、脳性まひ(Cerebral Palsy:CP)のお子さんでは、便秘はとても大きな問題であり、生活の質にも深く関わります。
2025年に発表された最新の研究(Toğuçら, 2025)では、便秘と運動機能・筋緊張・栄養状態の関係が詳しく分析されました。
この研究の結果は、リハビリ現場での支援にも直結する重要な示唆を与えています。
🧠 研究でわかったこと
① 運動機能と便秘の関係
研究では、運動の障がいが重いお子さんほど便秘が多いことが示されました。
反対に、日常生活の動作(食事や着替えなど)を自分で行えるお子さんは便秘が少ない傾向がありました。
👉 つまり、「身体を自分で動かすこと」そのものが腸の働きを助けている可能性があります。
リハビリ専門職による“動きを引き出す関わり”は、腸の調子を整える一歩にもなるのです。
② 筋緊張(スパスティシティ)と便秘
筋緊張が強い、特に太ももの内側(内転筋)に強い緊張があるお子さんでは、便秘の重さが増していました。
強い筋緊張は、お腹周りの圧迫や腸の動きの制限を引き起こすことがあります。
このため、リハビリの中で筋の柔軟性を高めたり、リラックスした身体づくりを行うことが、排便のしやすさにも良い影響をもたらすと考えられます。
③ 栄養状態との関係
栄養評価でも重要な発見がありました。
栄養状態が良くない(BMIや上腕囲が低い)お子さんほど便秘が多い傾向があり、
一方で、炭水化物をしっかり摂っているお子さんでは便秘が少ないという結果も示されました。
これは、「腸がしっかり動くためには、十分なエネルギーと栄養が必要」ということを意味しています。
偏った制限ではなく、お子さんの身体に合った食事内容が大切です。
🤝 まとめ:便秘は「多因子的」なサイン
この研究から、便秘は「食事だけ」「薬だけ」で解決できるものではなく、
身体の動き(運動機能)・筋の緊張・栄養のバランスなど、さまざまな要素が関わっていることがわかりました。
便秘はとても大きな問題です。
Illuminationでは、身体機能の評価だけでなく、保護者の方からの便秘などの生活情報も丁寧にお伺いしながら、
日常の身体機能の変化を評価し、リハビリが便秘の改善にもつながるよう取り組んでいます。
また、必要に応じて医師や栄養士などの外部の関連職種とも連携しながら、
お子さん一人ひとりに合わせた支援を行っています。
🌈 Illuminationの想い
便秘は「生活の中の小さな悩み」のように見えて、
実は成長や運動、発達の質にも関わる重要なサインです。
私たちは、最新の研究知見をもとに、
「からだ」と「こころ」の両面からお子さんの健やかな成長を支えます。
一人ひとりの“可能性の光”を灯すリハビリを。
子どもリハビリセンターIllumination
📚 参考文献
Toğuç, S., et al. (2025). Multifactorial Influences on Constipation in Children with Cerebral Palsy.