人工呼吸器をつけていても、リハビリも活動も全力で。

「人工呼吸器をつけている子どもは、ベッドの上でじっとしているもの」——そんなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

でも実は、人工呼吸器を装着していても、適切な専門知識と環境があれば、リハビリも活動もしっかり取り組むことができます。

今回は、子どもリハビリセンターIlluminationでの日常をご紹介します。人工呼吸器を使っているお子さんが、うつぶせ姿勢(伏臥位)での呼吸リハビリに取り組み、そのあとお友達と一緒に社会性を育むゲーミフィケーションの活動を楽しんでいる様子をお届けします。

目次

うつぶせ姿勢(伏臥位)での呼吸リハビリに取り組みました

この日は、人工呼吸器を装着したお子さんの呼吸リハビリとして、うつぶせ姿勢(伏臥位:ふくがい)に取り組みました。

仰向けの状態が長く続くと、背中側の肺が体の重みで圧迫され、十分に膨らみにくくなります。とくに人工呼吸器を使用しているお子さんは、自分で姿勢を変えることが難しいため、背中側の肺の換気が不十分になりやすい傾向があります。

うつぶせ姿勢にすることで、この背中側の肺が重力から解放されて広がりやすくなり、酸素の取り込み効率が向上します。成人の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)では、うつぶせ管理によって生存率が改善したという研究報告が複数あり、小児領域でもこの考え方を応用した呼吸管理が注目されています。

Illuminationでは、3学会合同呼吸療法認定士の資格を持つスタッフと、小児科・急性期医療の経験がある看護師が連携し、SpO₂(血中酸素飽和度)や心拍数をリアルタイムでモニタリングしながら安全に実施しています。

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背中側の肺が
広がりやすくなる
仰向けで圧迫されていた背側肺が解放され、換気量が増加。酸素の取り込みが改善します。
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痰(たん)が
動きやすくなる
重力の方向が変わることで、肺の奥にたまった分泌物が気管側へ移動しやすくなり、排痰を促します。
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首・体幹の
筋活動を促す
うつぶせ姿勢は、抗重力筋の活動を引き出します。頭部の挙上や体幹の安定性向上につながります。

もちろん、人工呼吸器の回路(チューブ)の管理には細心の注意を払います。体位変換の際はスタッフが複数人で対応し、チューブの屈曲や事故抜管がないよう確認しながら進めます。少しでもバイタルサインに変化があれば、すぐに仰向けに戻せる体制を整えています。

こうした安全管理は、呼吸管理の専門知識がなければ難しい領域です。Illuminationでは、認定理学療法士(理学療法士の上位資格)や3学会合同呼吸療法認定士といった専門資格を持つスタッフが在籍しており、医療的ケアが必要なお子さんにも安心してご利用いただける環境を整えています。

リハビリのあとは、みんなで社会性を育むゲーミフィケーション

呼吸リハビリを頑張ったあとは、お友達と一緒にゲーミフィケーションの活動の時間です。

ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素を活用して子ども達の自発的な運動や学習を引き出す取り組みです。Illuminationでは、ただゲームで遊ぶのではなく、脳神経科学の知見に基づいて一人ひとりの身体状況を評価しながら、音や光の刺激量、負荷量を専門的に調整して実施しています。

なかでも私たちが大切にしているのは、ゲーミフィケーションを通じて「社会性」を育むことです。

人工呼吸器を使っているお子さんも、お友達と同じ空間でリズムに合わせて身体を動かしたり、お友達の動きを見て自分も真似してみたり——こうした「一緒にやる」経験の積み重ねが、他者への関心やコミュニケーションの芽を育てていきます。

子ども達は、お友達が楽しそうにしている姿を見ると、自然と「自分もやりたい」という気持ちが湧いてきます。

この「社会随伴性」と呼ばれる仕組みを活かし、集団の中でお互いに刺激し合いながら自発的に活動に参加できるよう、環境を設計しています。

「楽しい」×「一緒に」が脳と社会性を育てる

発達科学の視点では、子どもの脳は「楽しい」「できた」と感じているときに最も活性化し、学習が定着しやすいことがわかっています。さらに、その体験をお友達と「一緒に」共有することで、社会的な脳のネットワークも同時に発達していきます。

Illuminationのゲーミフィケーションは、世界の発達科学をリードする「ダイナミックシステムズ理論」に基づき、子ども自身の自己組織化——つまり自ら試行錯誤して新しい運動パターンや対人関係のスキルを獲得していくプロセス——を最大限に引き出すことを目的としています。

この日も、人工呼吸器をつけたお子さんがお友達と一緒にリズムに合わせて身体を動かし、たくさんの笑顔を見せてくれました。

お友達の動きに目を向けたり、声に反応して笑ったり。こうした一つひとつの「つながり」が、社会性の発達の大切な一歩になっています。

人工呼吸器があっても、「自分らしく」成長できる環境

「人工呼吸器をつけているから、できることが限られる」——私たちはそう考えていません。

もちろん安全管理は最優先です。しかし、適切な専門知識と体制があれば、人工呼吸器を装着したお子さんでも、呼吸リハビリに取り組み、お友達と一緒に活動を楽しみ、日々成長していくことができます。

Illuminationが人工呼吸器を使用するお子さんを安全にお預かりできるのは、以下の専門体制があるからです。

🏅 Illuminationの専門体制
3学会合同呼吸療法認定士が在籍(熊本の児童発達支援・放課後等デイサービスで唯一)。日本呼吸器学会・日本心臓外科学会・日本麻酔科学会が認定する呼吸管理の専門資格です。
認定理学療法士(上位資格)が在籍(熊本の事業所で唯一)。エビデンスに基づいた高度な小児リハビリを提供します。
小児科・急性期医療の経験がある看護師が常駐。医療的ケアが必要なお子さんの状態変化にも迅速に対応します。
九州作業療法学会2025で優秀賞を受賞。医療的ケア児の支援と地域連携に関する取り組みが、学術的にも評価されています。
世界理学療法連盟(World Physiotherapy)小児グループに所属。国内外の最新の知見をもとに支援を行っています。

こうした専門的な体制のもと、呼吸リハビリだけでなく、摂食嚥下のリハビリや姿勢管理、トレッドミルを使った歩行支援など、お子さんの状態に合わせたオーダーメイドの支援を提供しています。

また、施設の中だけで完結するのではなく、学校や保育園の先生方と連携し、運動会のサポートや集団生活における環境調整のアドバイスなど、地域の中でお子さんが「自分らしく」過ごせるための支援にも力を入れています。

🌱 保護者の方へ

人工呼吸器をつけているからといって、じっとしていなくちゃいけないわけじゃない。

リハビリも、活動も、お友達との関わりも。
すべてがお子さんの「成長の種」になります。

Illuminationでは、子ども達一人ひとりの「やってみたい」という気持ちを何より大切にしています。

専門的な知識と技術で安全を守りながら、子ども達が自分の力で成長していける環境を、これからもつくり続けていきます。

子ども達の未来を見据えて。

子どもリハビリセンターIllumination

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